不動産投資におけるNOIの考え方とNOI利回り・NOI率の活用方法

2021/07/02

前回の記事「不動産投資をするなら知っておきたい利回りの種類と考え方」では、利回りの種類と計算方法などについてご説明しましたが、今回はその中でも実質利回りについて深堀りしていきます。

タイトルにある通りNOIについてですが、実質利回り(ネット利回り)と同義で扱われたり、より厳密にしたものがNOI利回りであると言われていたりもしますので詳しくご説明します。

NOIとは

Net Operating Incomeの略で、日本語では「営業純利益」や「純収益」などと表現されます。

不動産投資におけるNOIとは、マンションなどの不動産から得られる収益から、不動産運営にかかった費用を差し引くことで算出されます。

 

不動産運営にかかる費用というのは、固定資産税や都市計画税といった税金や、賃貸管理会社への管理費用、設備などの修繕費用、共用部分の水道光熱費、地震保険料や火災保険料などがあり、実際に発生した物件維持管理費用を控除して算出します。

一方、控除しない費用として減価償却費などの支出を伴わない費用や、支払利息、修繕積立金などの資本的な支出は計算に含めません。

 

すなわち、NOIは単純なキャッシュフローベースで収益が算定され、不動産投資により生み出される純粋な収益を表していて、不動産の実力を表すともされています。

NOI利回りとNOI率について

NOIを理解して活用していく上で、NOI利回りとNOI率というのが大切になってきます。

NOIの考え方では、空室期間の損失や運営費、購入時の諸費用を考慮して不動産の実力を判断するため、NOI利回りにもこの空室リスクなどが反映されており、計算式は下記の通りです。

 

NOI利回り ={年間家賃収入 ×(1 - 空室率)- 年間運営費}÷(物件購入価格 + 購入時の諸費用)× 100

 

この計算式の他にも、表面利回りとNOI率を使って算出する方法があります。

 

NOI利回り = 表面利回り × NOI率

 

NOI率というのは、空室になった場合の家賃収入がないことと運営費を反映させて、満額の家賃収入に対してどのくらいの割合になるかを表しており、下記の計算式で算出できます。

 

NOI率 = 100% -(空室率 + 運営費率)

 

NOI率は、調査会社などがデータを公表しているため、検討段階の物件と同条件のデータを利用したり、近隣物件のデータを利用すれば、対象物件のNOIやNOI利回りを概算で算出することが可能なので、より具体的な数値での比較ができます。

NOI利回りの注意点

NOI利回りは、不動産運営にかかった費用を控除するというその特性から、算出される値は過去の実績がベースとなってきます。つまり、新築物件に対しては想定値となることに注意が必要です。

また中古物件であっても、周辺地域の再開発などの良い影響だろうと、他の悪い影響だろうと、エリアの将来性などに影響を与えるような要素は算出された値に反映されていないということを理解しておくことが大切です。

 

物件の検討段階で正確なNOI利回りを算出するには、不動産運営にかかった費用として、修繕費用や管理費などの見積もりを揃えなければならず、不動産業者に依頼するなどの手間と時間がかかるためハードルが高く感じます。

また、維持管理費用を調べ上げられたとしても、設備の修繕費用などの金額はその時々によって変わるので、算出した値もある程度の想定値として考えておく必要があります。

まとめ

不動産投資におけるNOIとは、不動産運営からの純粋な収益であり、その不動産の実力を表しているともいえます。

 

NOI率を利用すれば、細かい計算をしなくともNOIやNOI利回りを算出できます。

表面利回りにNOI率をかければNOI利回りが出て、満室賃料にNOI率をかければNOIが算出できます。しかし、ある程度の想定値ということには注意が必要です。

 

物件選びの際には、不動産の収益力を示すNOI利回りを上手に活用しながらも、利回りだけで判断せずに、さまざまな要素を複合的に検討して不動産の価値を判断することが大切です。

 

その他、利回りに関連するこちらの記事もご参考ください。

「不動産投資における「イールドギャップ」という指標」

「不動産投資をするなら知っておきたい利回りの種類と考え方」

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