不動産業界におけるDX推進状況のアンケート調査で見えてきた期待と課題

2021/09/03

不動産テック企業の株式会社UPDATA、イタンジ株式会社、WealthPark株式会社、株式会社サービシンク、株式会社スペースリー、株式会社ライナフ、リーウェイズ株式会社と、一般社団法人不動産テック協会からなる、7社・1団体による共同企画で、219社/237名の不動産事業者に対して行ったアンケート「不動産業界におけるDX推進状況」の結果が発表されたので内容についてみていきます。

DX推進状況調査結果サマリー

  • 「DX推進をしている」と回答した事業者は237名中218名と90%超で昨年に比べて1.5倍に伸びています。
  • DX推進の目的は「業務効率化」が圧倒的で、約85%が回答しています。
  • 「DX推進で苦労している点」では、「DX人材が確保できない」が最多で、人材に関しては昨年から続く重要課題となっています。
  • 「DXの年間予算」は「100万円以上」が回答者の50%以上。「1000万円以上」も18%が回答しており本格的にDX投資を行っているのがわかります。
  • 導入状況と満足度ともに一番は「Web会議システム」で、他には「VR/オンラインシステム」「チャットツール」「CRM(顧客管理)システム」の導入率が高く、非対面やテレワークの対応を進めていると考えられます。
  • コロナ禍以降で導入の割合が高いのは主にテレワークをサポートするシステムで、「Web会議システム」「オーナーアプリ/ポータル」「電子申込システム」「VR/オンライン内見システム」などです。
  • 「電子契約システム」は導入検討層が多く、今後の導入が進むと見込まれます。
  • 電子契約へ「移行したい」との回答は83%と高く、うち「既に移行準備中」は30%、「移行したいがオペレーションやシステム選定に不安」という回答が20%です。

DX推進の目的

回答した事業者の90%超が何らかの「DX推進をしている」と回答しており、昨年の調査では約60%でしたので、回答率で比較するとDX推進は1年間で1.5倍も拡大しています。
DX推進の目的は、「業務効率化」が85.2%で圧倒的多数です。次いで「集客力アップ」が40.1%、「成約率アップ」が32.5%、「新事業展開」が16.0%となっています。

DX推進で苦労している点

最も多かった回答は「DX推進人材の確保ができない」で45.7%。次点で「費用が高いもしくは予算がない」で42.5%となっています。
昨年の調査でも「知識・情報・ノウハウを持っていない」「人的リソースがない」など、「DX人材不足」への回答が60%以上を占めおり、昨年に引き続いて人材不足はDXを推進していく上での最大の課題となっています。

DX推進における年間予算

DXの年間予算は、「50万円以下」が33%と最も多いが、次いで「300万円以下」が19%、「1000万円以上」が18%となっており、本格的にDX投資を行っている企業も2割近く存在することがわかっています。

DXツールの導入状況と満足度

導入状況・満足度ともに一番のツールは「Web会議システム」です。
導入状況においては、「不動産基幹システム」や「勤怠管理システム」に次いで、「VR/オンライン内見システム」「チャットツール」「CRM(顧客管理)システム」の導入率が高く、不動産業界においても非対面接客やテレワークの増加が背景にあると考えられます。
また、不動産業界特有のツールで満足度が高いのが、「IT重説のためのシステム」と「AI査定システム」となっています。

コロナ禍前後でのDXツールの導入状況

コロナ禍以降に導入された割合が高いツールは「Web会議システム」で63%、「オーナーアプリ/ポータル」で54%です。次いで「電子申込システム」「電子契約システム」「VR/オンライン内見システム」となっており、テレワークに対応するためのサービスです。

法改正にともなう電子契約移行の希望

電子契約へ「移行したい」と考えている不動産事業者は83%と需要はとても高く、そのうち、準備を進めているという回答は30%です。
移行したいが「オペレーションに不安がある」や「システム選定に不安がある」との回答はそれぞれ10%でした。

まとめ

ここまでアンケートについて見てきましたが、新型コロナウイルスの拡大により非対面での対応を迫られたり、リモートワークの必要性が出てきたりと社会環境の変化による影響は顕著ですが、不動産業界としてもデジタル改革関連法の成立がDX導入を加速させることを後押ししています。

しかしながらDXツールの導入がより進んでいくには、DXについての知見やノウハウを持っている人材の不足が課題となっていることが明らかなので、この問題に対しても取り組みながらより一層の変化が求められています。

不動産業界のDXは、顧客や事業者の双方にとってメリットが大きく期待されている変化なので、事業者にとっては迅速な対応や差別化などが競争力を高め、今後もDXツールの導入は拡大していくと思われます。

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