デジタル改革関連法案可決で不動産契約への影響は?

2021/06/04

2021年5月12日に国会で「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」(以下、デジタル改革関連法案)が成立し、不動産業界においても宅地建物取引業法の一部が改正されます。

契約業務のオンライン化に向けて動きが急激に加速する可能性がありますので、その影響についてみていこうと思います。

デジタル改革関連法案とは?

「デジタル社会の形成を進めるために、デジタル化を妨げている関係法律の改正をします」という内容で、行政手続きや契約時の押印や書面の交付手続きなどを簡素化しようと進めるために法律の改正が提案されたものです。

この中で、不動産業界に関わる法律に「宅地建物取引業法」「借地借家法」「マンション管理適正化法」「不動産特定共同事業法」「建設業法」が含まれており、実質的に不動産業界の完全オンライン契約が全面解禁になります。

宅建業法の改正で変わるところは?

宅地建物取引業法の改正により、これまでの紙を用いた売買・賃貸契約業務などが、相手方などの承諾を得ることで、電磁的方法での対応が認められます。

具体的に説明すると、契約書や重要事項説明書が紙である必要が無く、相手方の同意を得てデータでの交付が可能です。またその書面には宅地建物取引士の押印が不要になります。

つまり、現在もオンライン対応可能なIT重説との併用で、重要事項の説明から契約書などの交付・締結まで、完全オンラインで完結させることが可能となります。

電子契約でのメリットは?

契約を完全オンライン化することは、例えば不動産賃貸取引において不動産賃貸業者と入居希望者ともにメリットが多く、対応しない理由はないといえます。

不動産賃貸業者や管理会社にとっては、書類の紙代、印刷代、郵送代、印紙代、保管代などのコストを削減できることに加えて、面談や説明のための場所や時間にあまり影響を受けることなく業務効率化が期待できます。

入居希望者にとっては店舗に行かなくても締結まで可能なため、忙しい方や遠方の方には特に有益です。また現在の社会情勢的には、コロナ禍で非対面・非接触を望む方も多いためよりメリットは大きいと思われます。

まとめ

デジタル改革関連法案可決によって、これまで宅地建物取引士の押印と、紙での書面交付が必要だった重要事項説明書と契約書の電子契約が可能になります。

デジタル改革関連法案の施行日は2021年9月1日ですが、宅建業法に関わる施行については公布から最大で1年間の猶予があります。

電子契約の全面解禁が現実味を帯びてきて、不動産業界もオンライン化が加速していくことが予想されます。不動産会社がDXを進めていく上で、まずはアナログ管理している情報をデジタルデータ化していくことが第一歩になると思われますので、できる範囲から始めて今後の完全デジタル化に対応していくのも良いかと思います。

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