コロナ禍の影響が及ぼした働き方の多様性に対する賃貸需要の変化は?

2021/04/02

前回の記事では、コロナ禍においてもその影響を感じさせないほど、日本の不動産市場は好調で、特に東京圏の物流施設と東京都心の賃貸マンションへの投資額が拡大していて、バブルとも言われている状況をお伝えしました。

コロナ禍にあって堅調に推移している不動産市場ではありますが、テレワークの普及による働き方の変化によって住宅の賃貸需要にはどのような影響が出ているのかお伝えします。

 

東京都心の賃貸マンションでは、安定した賃貸需要は変わらない

新型コロナウイルスの影響で、特に最初の緊急事態宣言発令をきっかけに多くの企業が半ば強制的に在宅勤務を取り入れて、解除後も継続して出社制限をしています。

このようなテレワークを導入後の働き方やライフスタイルの変化が、郊外や地方への移住を考えさせることになり、メディアでも大きな話題となっていましたが、東京都心やその他の都心部から地方への人口移動が起こっているという目立ったデータは表れていないようです。

それよりもテレワークとはいえ、多くの人は週に数回はオフィスへ出勤しなければなりません。
在宅勤務で慣れた分、通勤時間を負担に感じたり、通勤時の密を避けるために地方移住よりもむしろ通勤時間の短縮と、都心での生活利便性を重視してオフィスの近くへ引越す人の方が多いそうです。

つまりコロナ禍であろうと、東京都心の安定した賃貸需要に対する影響は大きくないと言えそうです。

 

オフィスは縮小しているけど住宅の賃貸需要は減少しないのか?

本社機能を地方へ移したり、本社ビルを売却したり、オフィススペースを縮小するニュースはよく見聞きします。

働き方が多様化し、フルリモートワークやサテライトオフィスを活用してのリモートワークなど、選択肢が増えた分柔軟性のあるオフィスが求められるようになり、理想とするオフィスも多様化しているそうです。
今後もオフィスのあり方は変わっていくでしょうが、長期的なフルリモートワークのみという企業は少なく、都市部でのオフィス需要は継続してあるそうです。

ただ、今までのように拡張性を求めて、広くさらに広くという企業は減っていくのは確実だと考えられますが、ハイスペックなオフィスに空きが出ると、好調な企業は拡張移転するケースもあるようです。
コロナ禍においてテレワークが普及しようと、柔軟なオフィス機能に需要はありその価値は変わらないとみられています。
つまり都市部のオフィス周辺では、働く人々の賃貸需要がなくならないということです。

 

海外の投資マネーも集める賃貸マンション

以前の記事でもお伝えしたとおり、海外の機関投資家が安定した長期収入を求めて日本の賃貸集合住宅市場に参入しています。

日本では賃貸集合住宅は不動産投資セクターの中でオフィスと並ぶコアセクターとして長い歴史を誇り、物件数や物件規模など、バリエーションが豊富で、また新型コロナウイルスの影響が比較的軽微で、コロナ禍でも、稼働率・賃料水準ともに安定していると考えられているとのことで投資資金が集まっているそうです。

投資資金が集まっている、ということはそれだけ賃貸マンションへの投資は魅力的で需要は低下しないと考えられていて、投資的価値が高いということです。

 

まとめ

テレワークの普及で地方移住が進むと叫ばれていましたが、実際のところは通勤と生活の利便性を求める傾向のほうが強まっていて、地方移住のニュースはもともと移住を考えていた人を、コロナ禍が後押ししただけで、都心の賃貸需要に影響が出るものではないとみられています。

企業のオフィスに関するニュースも散見されますが、今後もオフィスの価値は保たれ、職住近接を望む人や生活の利便性を求める人の需要はなくなりません。

また海外の機関投資家からも投資マネーを集める賃貸集合住宅は、長期的に安定した収入を見込めると考えられています。

ということはつまり、東京都心の賃貸マンションへの投資は魅力的で、賃貸住宅のニーズはコロナ禍以前と変わらずに需要は高いといえそうです。

とはいえ今後もニーズの落ち込みや賃料の下落が起きないとは限りません。
新型コロナウイルスが収束してきても、オリンピック延期の影響や2022年問題、都心の人口減少問題など、不動産市場に与える影響は無視できません。

次回は、将来の不動産市場を取り巻く問題についてお伝えします。

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