異常気象による水害が増加傾向

2021/10/17

近年、台風や大雨などによる河川の氾濫だけでなく、土砂崩れや高潮、融雪洪水、内水氾濫など被害の原因は多岐に渡っており、ゲリラ豪雨などの異常気象による都市型水害の発生も増加傾向にあります。
自然災害が年々拡大しているなかで、増えてきている水害被害額などについて見ていき、それについての課題も考えていきたいと思います。

水害被害額は年々増大している

1年間の水害被害については国土交通省が毎年調査を実施しており、2021年の3月に、2019年の確報値を公表しました。
それによると令和元年(2019年)1年間の津波以外の水害被害額は、全国で約2兆1800億円となり、平成16年(2004年)の被害額約2兆200億円を上回り、統計開始以来最大となりました。
また、津波以外の単一の被害額についても、令和元年東日本台風による被害額は約1兆8,800億円となり、平成30年(2018年)7月豪雨による被害額約1兆2150億円を上回り、統計開始以来最大の被害額となりました。

ちなみに2021年8月末に公表された2020年の水害被害額は約6512億円(暫定値)でした。
このうち9割は過去最大クラスの広域災害をもたらした7月豪雨によるもので、その被害額は約5800億円とのことでした。
なお、2020年水害被害額の確報値は2022年3月末に公表される予定です。

頻発化する水害への治水対策

異常気象による水害が頻発するようになり被害額も増大していくことに対して、防災減災を目指して国も治水対策を実施しています。

令和3年度(2021年)の治水対策の予算の規模は、9716億円で主要な項目は「激甚化・頻発化する水災害等を踏まえた防災・減災対策の推進」に5695億円、「防災インフラの管理の効率化・高度化と予防保全(老朽化対策) 」に2194億円、「水辺空間の良好な環境と賑わいの創出」に90億円、「公衆衛生の強化等のための下水道の持続性向上」に52億円です。これ以外にも災害復旧関係費に502億円などがあります。

このように水災害をできる限り防ぎ、減らすための対策に予算が組まれて行われており、府省庁・官民が連携したあらゆる対策の充実を図っています。

水害被害額の増大に伴って保険料も値上げしている

近年の自然災害における支払保険金の増加に伴って、火災保険料は今後も値上げが続く見通しですが、この火災保険に水災分の保険料を上乗せするのが一般的な水災補償です。

水害リスクの増大によって水災補償の必要性も高まっていますが、地域や対策などのリスクの大小による価格差はなく保険料は基本的に一律なので、値上げが続くと不公平感が高まるとの懸念もあります。

地震保険では都道府県別の保険料が設定されているが、これと同様に台風などの水害に備える水災補償ついても、地域差などによるリスクを考慮した保険料が検討されていますが課題も多いようです。

例えば、河川付近の住宅と高台の住宅では浸水のリスクは違いますし、マンションの高層階と低層階でも同じことが言えます。
しかし保険料の差が広がりすぎると、リスクが高い地域にもかかわらず加入しない世帯が増える恐れもあります。

求められているのは水害に強い住宅

今後も避けることのできない自然災害に備えるため、耐水害住宅や水害対策マンションが開発されています。

住宅メーカーでは浸水対策や逆流対策、水没対策、浮力対策と、水害を防止したり軽減させて被害を最小限に抑えることによって、復旧しやすく継続利用が可能なように対策を講じられています。

水害対策の機能が強化されたマンションも登場し、1階の開口部には止水板が設置されていたり、地下に設置されていることが多い電気設備や増圧ポンプなどのインフラ設備は簡単に水没しない場所に設置されていて、地下は雨水貯水槽になっています。
また、災害用の備蓄が準備してあるなど災害に配慮されたマンションはどんどん増えていくと予想されています。

まとめ

100年に一度や、過去最大といわれるような異常気象が何度も発生し、土砂崩れや洪水などの水害が拡大、増加しているなかで、対策については急がなければなりません。

頻度も規模も大きくなる水害・土砂災害などに対して国も水災害対策を推進しています。
堤防整備、ダム建設・再生などの対策をより一層加速するとともに、集水域から氾濫域にわたる流域のあらゆる関係者が協働してプロジェクトを策定・実行し、被害対象を減少させるための対策や被害の軽減、早期復旧・復興のための対策などが行われています。

また、水害対策の講じられた住宅やマンションの開発が進んでいますが、今すぐ建物そのものに対策を施すのは大変です。ですが水災被害額を見て分かる通り、昨今の巨大自然災害に対する水災補償の必要性は高まっており、万が一の時のための保険はしっかりと検討するべきです。

火災保険を検討する際には、水災補償を外すことで節約につながることもありますが、建物の立地条件や構造、対策が取られているかなどの確認が必要です。また、ハザードマップを確認することも重要ですし、過去にどのような災害があったのかも確認すると参考になるかと思います。

 

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