「複利」がもたらす効果とは

2017/11/01

資産運用をするなら早いほうが良いと言われています。

理由としては、病気やケガなどによる医療費の出費、または介護離職やリストラ、倒産などによって収入が断たれるなど、将来、予期せぬ事態に見舞われて支出が増えたり、収入が減ったりする可能性に備えるためです。

しかし、早いほうが良い理由はそれだけではありません。
早ければ早いほど、時間を掛ければ掛けるほど効果のある「複利」の力を最大限に活用することが最大の理由です。


複利とは

相対性理論で有名な、20世紀最大の天才物理学者と言われているアインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだ複利とは一体どんなものか。

複利の仕組みを簡単に説明すると、運用元本だけでなく利息が利息を生んでいきます。

つまり、元本と元本についた利息の総額に新しい利息がつき、その新しい利息を加えた総額にまた新たな利息が加わっていきます。
これを繰り返して増えていくのが複利です。


「複利」と「単利」の差

複利の対をなすものに単利があり、単利は元本のみ利息を生み続けます。

複利と単利の運用によるその違いを具体的にご説明します。
例えば、元本100万円を年利5%で5年間運用した場合のそれぞれの合計額を計算してみます。


単利で運用した場合
1年目 100万円×5%=5万円(元利合計105万円)
2年目 100万円×5%=5万円(元利合計110万円)
3年目 100万円×5%=5万円(元利合計115万円)
4年目 100万円×5%=5万円(元利合計120万円)
5年目 100万円×5%=5万円(元利合計125万円)

5年目の元利合計額は125万円になり、単利での算出方法は下記の式で求められます。

n年後の金額=元本+元本×年利×n年

今回の例だと
元本100万円+元本100万円×5%×5年=125万円


複利で運用した場合
1年目 100万円×5%=5万円(元利合計105万円)
2年目 105万円×5%=5万2,500円(元利合計110万2,500円)
3年目 110万2,500円×5%=5万5,125円(元利合計115万7,625円)
4年目 115万7,625円×5%=5万7,881円(元利合計121万5,506円)
5年目 121万5,506円×5%=6万0,775円(元利合計127万6,281円)

5年目の元利合計は127万6,281円になり、複利での算出方法は下記の式で求められます。

n年後の金額=元本×(1+年利)^n年

今回の例だと
元本100万円×(1+5%)^5年=127万6,281円

※ ^は累乗を表し、上記の例では(1+0.05)の5乗で計算します


同じ利回り、同じ年数、同じ元本を複利と単利で運用した元利合計の差額は2万6,281円です。

運用期間が長ければ長いほど資産は膨らんでいきます。
すなわち、早く始めれば早く始めるほどより増えていきます。

複利を活用すれば元本を倍にすることも計画できます。


「72の法則」で元本倍増計画

運用元本を倍にするための年利や年数の算出に「72の法則」というものがあり、下記の式の関係が成り立っています。

年利×年数=72

計算や使い方は簡単で、算出された値は近似値ですが精度の高い計算式です。

例えば、元本を年利◯%で運用した場合、何年で倍になるか知りたい時は

72÷年利=年数

で算出できて、年利2%なら36年、年利4%なら18年、年利6%なら12年となります。

逆に、元本を◯年で倍にしたい場合、年利何%で運用すればいいのか知りたい時は

72÷倍にしたい年数=年利

で算出できて、5年間なら年利14.4%、10年間なら7.2%、15年間なら4.8%となります。

ちなみに、多くの方が大手都市銀行にお金を預けていると思いますが、各行の2017年10月現在の普通預金の金利は0.001%です。
この金利で元本を倍にするには、72÷0.001=72,000
なんと7万2,000年も掛かります。

残念ながら、預貯金大国である日本の現金資産は、複利の効果を有効活用していないともいえますね。

72の法則はあくまでも簡略的なものですが、計算も簡単なので覚えておくと便利です。


まとめ

複利の力をご理解いただけたでしょうか?

時間を利用した複利の効果は強力です。しかし、時間は有限です。

定年退職までの時間を上手く活用して、老後資産を形成する。
将来の医療費負担に備えて、若いうちから資産運用する。
ほかにも、働き方を考えて離職しても生活が成り立つようになど、早いタイミングから始める理由はいくらでもあると思います。

この運用に掛けられる時間こそが複利にとって最大の効果を発揮します。
時間を味方につけて資産形成を考えてみてはいかがでしょうか?

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