実はよく知らない生涯賃金(生涯年収)について

2017/10/12

将来は、受給年金の縮小や介護費用が高額になっていくと予想されており、至る所で「年金破綻」や「老後破産」など、私たちの老後の不安を煽るような話題が目立ちます。

歳を重ねるにつれて医療費負担なども増えていきますので、公的年金だけに頼らずに老後資金を形成していかなければならない時代です。

しかし、定年まで働いて得たお金だけで老後資金は賄えるのでしょうか?

いや、そもそも定年まで働いていくら得られるのでしょうか?

ご自身が生涯で得ることのできる金額を把握されている方はどれくらいいるでしょうか?

そこで今回は生涯賃金(生涯年収)についてお伝えします。


生涯賃金(生涯年収)とは

一般的に新卒から定年までの労働で得る賃金の総額のことで、毎月の基本給にボーナスや残業代、また退職金を含む場合もあります。

しかし、働き出す年齢も人それぞれで、学校を卒業してすぐに就職する方もいればしない方もいます。
就職しても諸事情で一時的に職を離れて、復帰される方もいます。
年金だけでの生活が難しいため、定年退職後に再就職する方も少なくありません。

このように人それぞれで働き方が違うため、一生涯で得られる賃金は違いますが、平均的な生涯賃金については気になるところだと思います。


それで平均的な生涯賃金っていくらなの?

ここでは、労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計2016』を参照しご説明します。

下表は、学校を卒業し直ちに就職し、60歳で退職するまでフルタイムで正社員を続ける場合で、退職金は含まずに、性別、学歴、転職の有無で区別したものです。

   男性 女性
転職なし 転職あり 転職なし 転職あり
中学卒 - 1億8,810万円 - 1億3,150万円
高校卒 2億5,230万円 2億670万円 1億8,540万円 1億4,660万円
高専・短大卒 2億4,700万円 2億1,260万円 2億480万円 1億7,420万円
大学・大学院卒 2億8,470万円 2億6,630万円 2億4,350万円 2億1,810万円


表をご覧いただくとお分かりの通り、学歴が高くなるほど賃金も高くなります。
学生生活が長いほど就業年数は短くなりますが、高学歴になるにつれ賃金水準もあがりますので、生涯賃金も高くなります。

また、日本では勤続年数が給与に与える影響が強いため、同一企業で定年まで就業したほうが生涯賃金が高くなる傾向があります。


企業規模が生涯賃金に与える影響は?

下表は、企業規模別での生涯賃金の一例です。

  企業規模 男性 女性
転職なし 転職あり 転職なし 転職あり
高校卒 1000人以上 2億7,890万円 2億5,570万円 2億570万円 1億7,940万円
10~99人 1億9,850万円 1億7,050万円 1億5,190万円 1億2,530万円
大学・
大学院卒
1000人以上 3億1,380万円 3億820万円 2億6,250万円 2億5,710万円
10~99人 2億1,700万円 2億円 1億9,470万円 1億6,930万円

男性、大学卒、転職ありで、1,000人以上の大企業と10~99人の中小企業での生涯賃金の差は1億820万円で最大です。

そのほかの企業規模別の比較では、男性、高卒で8,000万円を超えており、女性の場合、高卒では5,000万円超、最大では、大卒、転職ありの8,780万円の差になります。

また、大学を卒業して中小企業に就職するのと、高校を卒業して大企業に就職するのとでは、高卒から大企業の方が生涯賃金が高くなっています。
勤続年数というのもあるでしょうが、大企業の賃金水準の高さが大きな理由だと推察できます。


まとめ

一般的なイメージの通り、高学歴で、大企業に就職し、定年退職まで勤め上げることが1番多く生涯賃金を得ることができます。

しかし、大企業以上の高い賃金を支払っている中小企業もありますし、これは平均生涯賃金であり、全ての人、企業においてその通りというわけではありません。

データだけを鵜呑みにせずに、ご自身の働き方やライフスタイルを考えて、幸福度などとのバランスをとることも現代では重要と考えられています。

しかし、冒頭でもお伝えしたように老後の不安にはお金がついて回ります。
お金に振り回されるのも嫌ですが、お金がないと生活できません。

その不安を労働賃金だけで解消しようとするのではなく、投資・資産運用という方法で解決することも検討してみてはいかがでしょうか?

当ブログでは、資産運用や老後資金についての記事も書いているので、そのほかの記事もご参考にしていただけると幸いです。

関連記事