地震のリスクについて 旧耐震基準と新耐震基準とは?

2015/10/12


昨今は静岡県内陸部から東海沖を震源域とした巨大地震の発生が心配されています。
地震大国の日本においてマンション選びの際には地震による損傷や倒壊の恐れを不安に思う方が大半だと思います。
大切な資産が震災によってダメージを受けて安定した収益をあげてくれなくなっては大変です。
震災のリスクを抑えるために耐震基準について知っておくことも大切ですので、参考にしていただけたら幸いです。

そもそも耐震基準とはなにか


耐震基準(たいしんきじゅん)とは、建築物や土木構造物を設計する際に、それらの構造物が最低限度の耐震能力を持っていることを保証し、建築を許可する基準である。 (耐震基準 - wikipediaより引用)

現在では人命の確保に主眼が置かれた新耐震基準が導入されており、この基準を満たしていないと建築許可が下りずに構造物を建てることが出来ません。この新耐震基準以前の基準を旧耐震基準といいます。

旧耐震基準と新耐震基準の違いとは

新耐震のほうが耐震性が高いというのは当然ですが、ではどのような違いがあるのかお伝えします。

新耐震基準とは
1981年(昭和56年)6月1日に施行され、これ以降に建築確認を受けたものが新耐震基準の適用された建物です。
新耐震基準では地震に対して一定の強度を保ち、建物内や周辺の人に被害が出ないことを目標にしています。

より具体的に説明すると、発生頻度の高い震度5強程度までの地震では建物の被害は軽くて済むことを目標にしており、数十年に一度あるかないかの震度6強以上の地震では建物が倒壊や崩壊をしないことが求められています。

建物が倒壊や崩壊することによって建物内や周辺で生活している人々の人命が奪われるだけでなく火災の延焼、避難経路や救助活動を妨げることになるので二次災害の拡大によってさらに人命が危ぶまれることになります。
よって倒壊や崩壊しない建物を目標にする新耐震基準とは人命の確保を主たる目的としているといえます。

実際に地震での被害規模の違いはどうなのか

新旧耐震基準の違いは実際の地震においてどの程度なのか?まとめられているものがありましたので参照させていただきました。

出典:(社)高層住宅管理業協会「東日本大震災の被災状況について」


出典:建設省建築研究所「平成7年兵庫県南部地震被害調査最終報告書」


表からわかるように、阪神淡路大震災では耐震基準の違いが如実に現れており、旧耐震基準の建物に大きな被害が出ていることがわかります。
対して、東日本大震災での被害は歴然とした差は出ていません。これは震源地が遠くか直下型地震かの地震の違いによる差だと考えられています。

東日本大震災のような大規模な地震でも震源地が離れていると新旧の耐震基準の違いはあまり目立たず、より遠いところでの被害は地盤の影響を圧倒的に強く受けるようで、軟弱地盤だと液状化などでも建物に被害が出ているようです。

「旧耐震は危なくて、新耐震は安全」とは一概にはいえない

古い建物でも旧耐震基準以上に堅牢に建てられているマンションもあります。
逆に新耐震基準が適用されながらも、一時期メディアなどで頻繁に取り上げられていた耐震偽装、手抜き工事や施工不良などにより損傷や倒壊のリスクが高い建物も存在しているでしょう。

建物が高層化していくなかで技術開発が進み、地震に対する性能は改良されてきて免震構造や制震構造などさまざまな構造や性能をもった建物が増えてきています。

また、超高層マンションなどは新耐震基準よりも厳しい基準で建てられており、耐震診断が義務化されている建物などもあります。それに伴い耐震補強が施されている建物もありますので乱暴に「旧耐震は被害を受けて、新耐震は無被害。 高い建物は倒壊しやすく、耐震補強されていれば安全」とはいい切れません。

まとめ

新築で新耐震基準を満たしているからといって、絶対に倒壊しないという安全な建物はありません。

新耐震基準とは構造物を建築するための最低限の基準であり、あくまでも一定の耐震能力があり建築が許可されたということであって建物が倒壊しないという保証ではないことを理解しておかなければなりません。

自然災害で被害に合うかは確率の問題で、地震の規模や震源地からの距離など地震によって違ってきますし、地盤の質や耐震基準や耐震補強、構造などは被害のリスクを低くすることだと考えられます。

万が一の事態を考えて、マンションを購入する際には地震に対してどのようなリスク対策が講じられているかも確認するとよいでしょう。


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