不動産投資における「イールドギャップ」という指標

2016/01/19

不動産投資をする際に利回りを重視される方も多いと思いますが、この利回りを用いた「イールドギャップ」という指標をご存知でしょうか?

ローンを利用して不動産投資をする際に、その対象物件の収益性を判断したり、債権間や債権と株式の相対的な魅力度を判断をする際に役立てられる指標のひとつです。

「イールドギャップ」についてあまり馴染みがない方にも理解できるようにご説明しますので、ぜひおさえておきましょう。

まずは「イールドスプレッド」から

イールドスプレッドとは、通常は債権と債権の利回りを比較するための指標として使われます。
他にも、債権利回りと株式配当利回りの差からどちらのほうが魅力的か判断したり、投資リスクが低いと考えられている長期金利(一般的に10年物の国債の利回り)と株式益利回りを比較し、株式相場が割安か割高かを判断するための指標として使われます。

長期金利と株式益利回りを比較する場合のイールドスプレッドは下記の計算式で求められます。

イールドスプレッド = 長期金利 - 株式益利回り(1株当り利益 / 株価)
 
値が小さくなるほど株価の割安感が強くなり、債権投資より株式投資のほうが有利となり、逆に値が大きくなれば株価の割高感が強くなり、債券投資の方が有利と考えられます。

このイールドスプレッドの計算式を逆にした、株式益利回りから長期金利を引いたものが「イールドギャップ」です。

イールドギャップ = 株式益利回り(1株当り利益 / 株価) - 長期金利

不動産投資での「イールドギャップ」とは

不動産投資においてのイールドギャップとは、投資物件の利回りとローン金利の差をいいます。

投資物件の利回りには、マンション経営にかかる管理費やその他の経費を差し引いた実質利回り(ネット利回り)を使います。

イールドギャップ = 実質利回り(ネット利回り) - ローン金利

例えば投資物件の利回りが6%で、金融機関からの借入金利が2%の場合

6 - 2 = 4 (%)

イールドギャップは4%ということになります。

「イールドギャップ」の使いどころ

イールドギャップはローン金利を利用して求められるため、借り入れをして投資をした場合に、収益性の判断をするための指標のひとつとして利用します。

つまり、投資物件の利回りが高くても、ローン金利も同様に高ければ収益性は低くなり投資対象としての魅力は下がります。

逆に投資物件の利回りが低くても、現在のような超低金利でローンを組んでいるとイールドギャップの値は大きくなり収益性は高くなりますので、投資対象として検討の余地ありと判断できます。

投資対象としての判断基準は?

一般的に不動産投資をする際のイールドギャップの目安は2%だといわれています。しかし、人によっては最低5%は必要だとか、8%なければ投資対象に値しないという方もおられます。

それもそのはずで、もともと相対的な魅力度を判断するための指標のひとつであり
「○%以上が絶対条件」というものではないからです。

不動産投資において収益性の判断を行う際には、ひとそれぞれで借入額や金利、借入期間が違います。
仮にイールドギャップが同じでも借入額や借入期間が違うことによるキャッシュフローの差は考慮されていませんので、人によって判断基準が違うのは当然だといえます。

まとめ

ここまで、イールドギャップとは相対的な魅力度を判断するための指標、収益性の判断のための指標とご説明してきました。

さまざまな金融商品があるなかでどの商品に投資をすることが有利なのか。投資妙味の高い商品や市場を選択する判断基準として利用します。

不動産投資に対するイールドギャップは便利なツールと考え、求められた数値は万人に共通した絶対的な基準ではないので、あくまでも投資対象物件の比較検討に利用する指標として理解し役立てていくと良いと思います。

不動産市場は盛り上がりを見せているなかでローン金利は史上最低を維持している今はイールドギャップの値も高く、投資環境は良好ですのでマンション経営を資産運用の手段として検討してみてはいかがでしょうか?

 

その他、利回りに関連するこちらの記事もご参考ください。

「不動産投資をするなら知っておきたい利回りの種類と考え方」

「不動産投資におけるNOIの考え方とNOI利回り・NOI率の活用方法」

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